夜間頻尿について
近年、「就寝してからトイレのために起きて困る」という患者さんが増えています。
定義としては、夜に1回以上起きる方が夜間頻尿とされていますが、2~3回、中には5~6回起きる方もおられます。
眠って体を休める時間であるのに、トイレのために起きなければならず疲れがとれない、次の日の昼間に眠たくなる、など「睡眠の質の低下」が健康上、大きな問題となっています。
実はこの夜間頻尿という病態は、よくある悩みであるにも関わらず、いろいろな要素が重なり合って起こることが多く、正確な診断や治療が難しいものなのです。
前立腺肥大症や過活動膀胱などの泌尿器科的疾患に加え、例えば、「心不全」「高血圧」といった循環器系の病気や、「睡眠時無呼吸症候群」などの呼吸器系の病気、「尿量を調節するホルモン分泌低下」などの内分泌の病気、「塩分摂取が多い」「水分摂取のバランス」など生活習慣に関わるもの、「入眠障害」「中途覚醒」などの睡眠障害によるもの、など、これらすべてが夜間頻尿の原因となりますし、多くの場合はこれらが組み合わさって起こっています。
当クリニックでは、この夜間頻尿という病態でお困りの方専門の、特別な検査と治療をご用意しています。これは、夜間頻尿ガイドラインに基づき、なおかつ上記のような複雑な病態に対応できるよう時間をかけて調査し、独自に開発した、他にはないプログラムとなっております。
患者さんには、一日の排尿の記録をつけていただいたり、ご自宅で血圧を測定し、その記録をしていただいたり、通常の泌尿器科の診療よりもご協力いただくことが多くなります。
ただ頑張っていただいた分、効果の大きい治療を受けていただくことが可能になります。
夜間のトイレの回数を少しでも減らして、より良い睡眠が得られるよう、私たちと一緒に治療をしてみませんか。
夜のトイレが気になっていた方、今までの治療でうまくいかなかった方、お気軽にご相談ください。
診療の流れ
1.まずは病気の可能性がないか?を調査します。
前立腺肥大症、過活動膀胱といった、泌尿器科の病気がないか?をチェックします。
血圧に異常はないか?その他の病気の可能性はないか?をチェックします。
→尿検査、血液検査、超音波検査、レントゲン検査、夜間の血圧測定などを行い、病気による夜間頻尿の可能性をチェックします。
何かしらの異常があるような場合には、内服薬による治療が可能です。すっかり治ってしまった方も多くいらっしゃいます。
2.病気でないなら、生活習慣の問題の可能性は?を調査します。
塩分の取りすぎ、水分の取りすぎ、睡眠障害の可能性を考えます。
→ご自宅で排尿日記を書いて頂き、問題点をしっかりと確認します。
排尿日記とは??
朝起きてから寝るまで(日中)、寝てから起きるまで(夜間)24時間の排尿状態を記録してもらう、自宅で行う検査です。
具体的には
「〇時〇分に」にトイレに行き「〇〇mL」出たかを記録します。
これを提出して頂き、結果を詳細に解析すると…
夜間頻尿の原因が具体的に明らかになってきます。
患者さんご自身にも納得してもらいやすく、好評です。
なお、当院では看護師さんたちが工夫して作成した、オリジナル排尿日記を使用しています。